ブロイラーと地鶏の美味しさの違い

鶏肉といえば人にとって重要なお肉ですよね。
そんな食肉用のニワトリは、大きく二種類に分けられます。

ブロイラーと地鶏です。

ブロイラーは肉を取るためだけに非常に効率的に鶏舎内で育てられているニワトリで、スーパーで『若鶏』とタグが貼られている鶏肉のことです。
ブロイラーに求められているのは効率で、飼育方法・飼育環境がほぼ完成されているので、基本的にどこの養鶏所でも同じ方法で育てられています。

地鶏は、各産地や養鶏所がそれぞれに美味しくなるよう工夫して育てられているニワトリですね。

ブロイラーは品種改良の結果、通常の鳥類では考えられないようなスピードで猛烈に成長し、わずか45〜50 日で出荷されます。

対する地鶏は80 日以上じっくり育てられてから出荷されます。100 日、120 日なんて産地もあります。

地鶏の美味しさの秘密はいろいろあるのですが、基本的にはこの飼育期間にあります。
実は鶏肉というのは、80 日以上飼育しないと、肉の中にうま味成分(アミノ酸群)が蓄積されてこないのです。

…じゃあブロイラーも80日以上飼育したらいいんじゃない?と思いますよね。
美味しくなるし大きくなるし、もう一ヶ月長く飼えばいいんじゃない?と。

ところがブロイラーは生後45〜50日間で生涯生育サイズの2/3まで急速に成長しますが、それ以降は成長速度が鈍化します。一ヶ月間長く飼っていても、肉の量が1.6倍にはならないんです。

投入飼料量と取れる鶏肉の量の経済的な効率が45〜50日が最高点になるため、ブロイラーは45〜50日以上は飼い続けられないのです。

うちはいつも経済的な若鶏を食べているのですが、価格は高いけれど良い環境でのびのび育った美味しい地鶏もたまには奮発して選んでみようかな?

▶ 参考: 遠藤秀紀「ニワトリ 愛を独り占めにした鳥 」(光文社新書)
山本謙治(農産物流通コンサルタント)やまけんの出張食い倒れ日記:http://www.yamaken.org/mt/kuidaore/